香炉の飾り方|床の間での置き場所・向き・大きさ

床の間に飾る香炉。鶴と亀を金彩と色絵で描いた有田焼の三本足の香炉

香炉を焚かない日、どこへどう置いておけばいいのか悩みどころですよね。「焚かないならしまっておくべき?」と考える方もいるでしょう。

香炉は、焚かずに置いておいて構いません。決めるのは置き場所と向きと大きさの3つだけです。

この記事では、焚かずに飾るときの扱い方から、置き場所の決め方、向きの決め方、大きさの選び方までをご紹介します。床の間の香炉をどう置けばいいか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事について

当メディアを運営するJTOPIAは、有田焼をはじめとする伝統工芸品を扱う事業者です。この記事で紹介する置き方は、当社が器を扱うなかで使っている考え方であり、流派や宗派の定めた作法ではありません。仏事での扱いは地域や宗派で異なるため、迷われる場合は菩提寺にご確認ください。詳しい編集方針は運営者情報・編集方針をご覧ください。

目次

香炉は焚かずに置くだけでも良い|飾るときのポイント3つ

香炉を焚かずに置くときの3つ。蓋を閉じる・灰は入れない・沈香壺は焚く道具ではないを並べた図

香炉をお持ちでも、毎日焚いている方はほとんどいません。いただきものだったり、家を継いだときから床の間にあったりという場合が大半です。

焚かないまま置いておくことに、何の問題もありません。香を焚くのは多くても月に数回で、残りの日は置物として目に入ります。だからこそ、焚いていない日の姿のほうを整えておきたいところです。

押さえるのは蓋と灰と形の3つになります。順に見ていきましょう。

蓋|焚かない日は閉めたままにする

蓋を閉じた姿が、香炉の完成した形です。開けたままにすると中の灰や底が見えて、道具を置いてあるだけの面になってしまいます。

蓋には煙を逃がすための穴が彫ってあります。焚かない日は、蓋を閉じた姿が完成形です。

摘みの形は香炉ごとに違います。宝珠のかたちのもの、獅子が載っているもの、金を使ったもの。正面から見たときにいちばん目に入る部分なので、買うときはここも見てください。

灰|入れずに置いてかまわない

香炉灰は、焚くために入れるものです。飾るだけなら、中は空のままで構いません。外から中は見えないので、入れても入れなくても見た目は変わらないのです。

むしろ長く焚かないのであれば、灰は出しておくほうが安心でしょう。灰は湿気を吸います。湿った灰を入れたまま何年も置くと、内側に匂いが残ることがあるのです。

焚く予定ができたときに買い足せば間に合います。灰は香の専門店でも仏具店でも手に入りますよ。

形|沈香壺は焚く道具ではない

「香炉」として売られているもののなかに、沈香壺が混じっていることがあります。沈香壺は、香木を納めた壺に由来するともいわれる器で、焚くための道具ではありません。

見分け方は姿です。香炉は背が低くて口が広く、三つ足のものが多く見られます。沈香壺は背の高い壺で、足がありません。当社の在庫で測ると、香炉は高さ10.7cmから25cm、沈香壺は31cmから32cmでした。

床の間に飾るという目的なら、どちらを選んでも構わないでしょう。ただし置き方は変わります。背の高い沈香壺は花瓶に近い扱いになり、この記事で紹介する置き場所の考え方も、そのまま当てはまるのは香炉のほうです。

沈香壺の置き方と向きの決め方は、壺だけを扱った記事にまとめました。

あわせて読みたい床の間の壺の飾り方|置く位置・向き・和室での置き方

香炉の置き場所の決め方|床板・違い棚・台の使い分け

香炉を置ける3か所。床の間の床板、床脇の違い棚、香台の上を正面図で示した図

香炉を載せられる面は、床の間のまわりに3つあります。畳より一段高い板の面である床板、違い棚、そして台の上です。

床脇のない床の間なら、床板か台の上の2つから選ぶことになります。違い棚は床脇という脇のスペースにある棚なので、ない家も珍しくありません。

床板|中央を外して端に寄せる

床板は床の間の床にあたる板で、いちばん素直な置き場所です。畳の上に直接置くより、板の上のほうが香炉の足も傷みません。

気をつけたいのは位置です。左右の中央に置くと、仏壇に似た正面性が出てしまいます。左右どちらかに寄せて、反対側は何も置かずに空けてください。

掛軸を掛けているなら、その真下は外しましょう。軸と香炉が縦に重なると、どちらを見ればよいか分からなくなるのです。

何をどう並べるかで迷う場合は、床の間に置くもの全体の決め方をまとめた記事もご覧ください。

あわせて読みたい床の間の飾り方|置くものの選び方と花瓶・壺・香炉の寸法

違い棚|高さ21cm以下のものが収まる

床脇がある家なら、違い棚の上も置き場所になります。目の高さに近いので、絵付けがよく見えるのが利点です。

ただし段の高さに上限があります。違い棚の段はおよそ25cmから30cmです。出し入れの余裕を見ると、置けるのは高さ21cm以下になります。当社の在庫でいえば、高さ11cmと16cmの2点が収まり、25cmの大香炉は入りません。

棚板は奥行も浅いのです。径も確かめてから載せましょう。

台の上|香台や花台に載せて高さを足す

床板に直接置くと、座って見たときに低く沈んで見えるのです。高さ10cm前後の台に載せるだけで、香炉が見える位置まで上がります。

専用の香台でなくても構いません。花台、四方盆、厚みのある板。いずれも香炉より一回り大きいものを選ぶと、据わりがよく見えます。

台の色は、床柱や床板の木より濃いものが合います。同じ明るさの木を重ねると輪郭がぼやけてしまうのです。

香炉の向きの決め方|正面・足・座る位置の3点

香炉の向きの決め方。床の間を上から見た図に、三本足の1本を手前に向けた状態と客の座る位置を示した図

香炉には正面があります。総手描きの器は胴の絵が一周しているので、どこを前にするかで見える絵が変わるのです。

見るのは絵柄と足と座る位置の3点です。この順に決めると、迷わずに向きが決まります。

正面|絵柄の継ぎ目が背になる

手描きの絵は、胴をぐるりと回って描き始めの位置に戻ります。描き始めと描き終わりが出会う継ぎ目が、どの器にも1か所あるのです。そこを壁側に向けてください。

曲線で切り取った窓のなかに絵を描いた器は、窓が2つか3つあります。季節に合う窓を正面にすると、その時期だけの顔になりますよ。

継ぎ目が分からない器もあります。その場合は、いちばん描き込みの多い面を正面にしておけば間違いありません。

足|三本足は1本を手前に向ける

香炉の足は3本で、120度ずつ離れた位置にあるのです。1本を手前に向けると、残りの2本が左右に等しく開いて見えます。

仏具として扱う場合も、足を1本手前に向けるのが一般的です。床の間に飾るときにこれへ倣っておくと、どちらが前か迷わなくなるでしょう。

蓋の摘みに獅子や鳥が載っている器では、摘みの向きを優先してください。生き物が横を向いていると、どれだけ足をそろえても落ち着きません。

座る位置|部屋の中央から正面に見えるように回す

床の間の前は、床の間を背にして座る席が最上座です。つまり上座に座った方からは、床の間そのものが見えません。香炉の正面を向けるのは、部屋の側です。

壁と平行にまっすぐ置くより、部屋の中央へ向けてわずかに振るほうが自然に見えます。角度にすると10度から15度ほどでしょうか。

普段は家族が座る側に向けておけば十分です。来客の日だけ、客が座る位置から見て正面になるように回してください。

香炉の大きさの選び方|間口と奥行に対する目安

香炉の大きさの目安。間口91cmの3分の1までの幅、花瓶の半分の高さ、奥行45cmの半分の径を示した図

大きさは、香炉そのものを見て決めるものではありません。床の間の寸法から逆算すると、迷わずに決まります。

見るのは幅と高さと奥行の3つです。順に測っていきましょう。

幅|間口の3分の1までに収める

床の間の間口は、半間で91cm前後、一間で182cm前後が目安になります。香炉の径は、その3分の1までに収めてください。

半間なら30cmまでということです。当社で扱う香炉の径は10cmから15cmなので、半間の床の間でも余裕があります。

幅が気になるのは、台に載せたときでしょう。台は香炉より一回り大きいものを選ぶので、そのぶんを足して測ってください。

高さ|隣に置く花瓶の半分より低くする

花を生けた花瓶と並べるなら、主役は花のほうです。香炉は花瓶の半分より低いものを選ぶと、高低差がはっきり出ます。

花のほうの活け方は、口径別にまとめた記事をご覧ください。

あわせて読みたい床の間の花の飾り方|活け方と置く位置・水の管理

同じくらいの背丈のものを横に並べると、奥行きが消えて平らな面に見えてしまうのです。差をつけたほうが、どちらも生きます。

香炉だけを置く場合は、高さは自由に考えて構いません。その場合は台で高さを足すほうが効きますよ。

奥行|最大径を測って奥行の半分に収める

床の間の奥行は、浅いもので45cm前後、本格的なもので91cm前後です。香炉の最大径がその半分に収まれば、手前に余白が残ります。

測るのは胴のいちばん膨らんだところです。足が外へ張り出している器では、足の先から先までを測ってください。

奥行がぎりぎりだと、掃除のたびに動かすことになります。前後に指が入るくらいの余裕を残しておきましょう。

床の間に置く香炉

上の4点は、高さが11cm・16cm・25cm・31cmの4段階です。違い棚に載せるなら上の2点、床板や台の上に置くなら下の2点が合います。

JTOPIA 本店香炉・沈香壺の一覧を見る

焚くと決めたときに必要なもの|道具と手順

ここまでは焚かない前提の話です。焚くとなると、香炉のほかに道具が3つ必要です。何が要るのかも触れておきましょう。

道具|香炉灰と香炭と火道具の3つ

香炉を買っただけでは香は焚けません。練香や香木を焚くなら、別に要るのは香炉灰と香炭と火箸の3つです。火箸は、火のついた炭をつまむための金属の箸になります。

灰も炭も、香の専門店か仏具店で手に入ります。スティックのお香を立てるだけなら、灰だけでも始められるでしょう。

手順|灰は八分目まで入れる

灰は香炉の八分目まで入れます。縁まで詰めると、火のついたお香が縁に触れて焦げの跡が残ります。

お香は先端に火をつけ、炎が上がったら手であおいで消し、煙だけが立つ状態にしてください。仏事では口で吹き消さないものとされています。炎を上げたまま置くと、香りが飛んでしまいます。

煙|焚いている間は蓋を開けておく

焚いている最中は、蓋を外しておくほうが確実です。いちど蓋を閉じると立ち消えすることがあるので、灰の量や形によっては外しておきましょう。

和室で焚くと、匂いは畳と襖に残ります。気に入った香なら部屋ごと変わりますし、合わなければ抜けるまで日数がかかるものです。はじめは少量から試してください。

焚き方そのものは、本店のブログでもくわしく紹介しています。

JTOPIA 本店ブログこだわる人は知っておきたい香炉の使い方

まとめ

床の間の香炉は、焚かずに置いておいて構いません。蓋を閉じ、灰を入れず、そのままの姿で飾れるのです。

置き場所は床板・違い棚・台の上の3つから選びます。向きは絵柄の継ぎ目を背にして、足を1本手前に向け、部屋の側から正面に見えるように回してください。大きさは間口の3分の1、花瓶の半分、奥行の半分が目安になります。

どれも道具は要らず、今日のうちに終わります。まずは一度持ち上げて、継ぎ目を探すところから始めてみてください。

香炉のほかに何を置くか、寸法をどう測るかは、床の間全体の飾り方をまとめた記事をご覧ください。

あわせて読みたい床の間の飾り方|置くものの選び方と花瓶・壺・香炉の寸法

壁や明かりまで含めて床の間を今風にしたい方、美術品として器を集めたい方には、こちらが近い内容です。

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著者

杉谷 まゆかのアバター 杉谷 まゆか JTOPIA Style 編集長|株式会社イード

株式会社イードで複数メディアの編集長を務める。LiProでは30を超えるサービスを自ら利用検証し、1,400名以上に聞き取りを実施。JTOPIA Styleでは床の間と和室の使い方、そこに置く器の選び方を扱い、掲載する寸法と価格は取扱元の実データと照合して記事にしている。

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