和室を洋室にしようと決めたあと、最初につまずくのは「どこまで替えるか」です。
床だけ替えればいいのか、壁や天井にも手を入れるのか。調べても、工事の大きさがばらばらの事例が並ぶばかりで、自分の家がどれに当たるのかは書かれていません。
替えるのは、床・壁・建具・天井の4か所です。この4つのうちどこを替えるかが決まれば、工事の範囲も金額も決まります。全部を替えなくても洋室になるのです。
この記事では、4か所それぞれの替え方から、工事の前に確かめる注意点、金額が動く場所、工事を小さくする方法、床の間と押入れの扱いまでをご紹介します。和室をどうするか決めかねている方は、ぜひ参考にしてみてください。
当メディアを運営するJTOPIAは、有田焼をはじめとする伝統工芸品を扱う事業者です。工事そのものは当社の取扱い対象外のため、施工の手順ではなく、替える場所の見方と手段の違いを扱いました。記事内の寸法は一般的な値なので、建物による差があるとお考えください。なお記事内の一部のリンクにアフィリエイト広告を利用しています。詳しい編集方針は運営者情報・編集方針をご覧ください。
和室を洋室に作り変えるときのポイント4か所

和室が和室に見えているのは、床の畳、柱の見える壁、襖、天井の4つが揃っているからです。逆にいえば、この4か所を替えれば洋室になります。
ただし4か所すべてに手を入れる必要はありません。替える数が増えるほど工事は大きくなるので、どれを替えてどれを残すかを先に決めてください。
どこを残すかで、和の名残がどれだけ残るかも決まります。全部を替えれば完全な洋室になりますが、柱や天井を残すと和の気配のある部屋になるでしょう。
床|畳をフローリングにすると段差が出る

いちばん印象が変わるのが床です。畳をやめてフローリングにすると、それだけで部屋の呼び名が変わります。
ここで出てくるのが段差です。畳は55mmから60mm、フローリングは12mm前後が一般的なので、畳を外しただけでは床が下がります。下地で高さを調整するか、厚みのある材を使うかで工事の中身が変わるのです。
隣の部屋と続いている場合は、敷居の高さも見てください。廊下やリビングと高さが揃わないと、つまずく段差が残ります。
畳を外すと、下から荒板と根太が出てきます。古い家ではこの下地が傷んでいることもあるので、工事の前に一度めくって見てもらうと確実でしょう。
壁|真壁なら柱を見せるか隠すかを先に決める

和室の壁は、柱が見えている真壁のつくりが多いのです。洋室は柱を隠した大壁が一般的なので、柱を見せたまま仕上げるか、隠してしまうかで工事の量が変わります。
柱を見せたまま、壁の面だけをクロスや塗り壁に替える方法もあります。費用は抑えられますが、洋室らしさは中途半端に残るでしょう。
砂壁やじゅらく壁の場合は、手で触って粉が付くかを確かめてください。粉が落ちる壁は、そのままクロスを貼れません。
柱を隠す場合は、柱の手前に下地を組んで壁を立てることになります。そのぶん部屋は数cm狭くなるので、6畳では体感で分かることもあるでしょう。
建具|襖をドアに替えると枠ごと替わる

襖は和室の顔です。ここを替えると、床がそのままでも印象が大きく動きます。
襖をドアに替えるときは、襖だけでなく枠ごと替わります。引き違いの襖は4枚で一間ぶんの開口があるので、開き戸にすると開口の幅から作り直すことになるのです。
開口をそのまま使いたいなら、洋風の引き戸という選び方もあります。枠を活かせるぶん、工事は小さく収まるでしょう。
敷居と鴨居も一緒に見てください。襖は溝の上を滑る建具なので、ドアに替えるなら溝を埋める工事が入ります。
天井|竿縁を残したままでも洋室になる

天井は、4か所のなかでいちばん後回しにできます。和室の天井は細い木を渡した竿縁天井が多いのですが、床と壁と建具が洋室になっていれば、天井だけ和風でも違和感は出にくいのです。
どうしても気になるなら、クロスを貼るか、板を張るかの2つになります。足場が要らない高さなら、工事そのものは大きくならないでしょう。
照明の位置も一緒に見ておきましょう。和室の中心にある引掛シーリングは、洋室の家具の配置と合わないことがあるのです。
天井を替えないと決めたら、壁との境目だけ見ておいてください。壁をクロスにすると、竿縁との取り合いが目立つことがあります。
工事の前に確かめる注意点3つ

替える場所が決まっても、住まいの種類と建物のつくりによっては、そこまで手を入れられないことがあります。確かめるのはマンションの管理規約、賃貸の原状回復、建物の構造の3つです。
この3つは工事の内容より先に決まります。替える場所を決める前に確かめておけば、見積もりをやり直さずに済むでしょう。
マンション|床の遮音の決まりが管理規約にある
マンションでは、床材の遮音について管理規約で決められていることがあります。畳をフローリングに替えると、下の階へ音が伝わりやすくなるためです。
工事の前に管理組合へ確認してください。使える床材が指定されている場合は、その条件で見積もりを取ることになります。
確認せずに進めると、張り替えたあとにやり直しを求められることもあるでしょう。畳の上に敷く方法なら、下地を触らないぶん話は簡単です。
賃貸|原状回復できる範囲でとどめる
賃貸では、退去のときに元の状態へ戻すことが前提になります。畳を外す、襖の枠を替えるといった工事はできません。
できるのは、畳の上に敷く方法と、襖の紙を替える方法の2つでしょう。どちらも外せば元に戻せます。
紙を替えるときも、念のため貸主へ一言入れておくと安心です。どこまでが借りた側の負担になるかは、国土交通省がガイドラインを公開しています。
原状回復の範囲については、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(2026年10月21日確認)をご覧ください。
構造|抜けない壁と下げられない天井がある
和室の壁には、建物を支えている壁(耐力壁)が含まれていることがあります。ここは抜けません。
壁をなくして部屋を広げたいという話になったら、図面を見て判断する段階です。施工会社に確かめてください。
天井も同じです。梁の位置より下げられないので、竿縁を外して天井を高くする工事には限りがあるでしょう。
費用の目安|金額が動く3つの場所

同じ「和室を洋室に」でも、金額は大きく変わります。動くのは床の面積、建具の枚数、壁の下地の3つです。この3つを押さえておくと、見積もりの読み方が変わってきます。
床の間だけの相場や和室だけの相場は公表されていません。範囲が決まっていない状態で聞くから、答えが幅を持ってしまうのです。リノベーション全体の費用感は、別の記事にまとめてあります。
あわせて読みたい和モダンリノベの費用相場|平均と見積もりの取り方床|面積で決まるので畳数がそのまま効く
床は面積で決まります。6畳と8畳では、同じ工事でも材料も手間も増えるのです。
畳を処分する費用も別に出ます。枚数で決まるので、見積もりに入っているかを確かめてください。
処分は1枚いくらで計算されることが多いところです。枚数を数えてから頼むと、見積もりを比べやすくなります。
建具|襖の枚数で決まる
建具は枚数です。襖が4枚あれば4枚ぶん、押入れの襖まで替えるならその数も足されます。
枠を替えるかどうかで金額の桁が変わるのです。枠を残して戸だけ替えるのか、開口から作り直すのかを、見積もりの前にはっきりさせておきましょう。
押入れの襖まで含めるかどうかでも枚数は変わります。どの建具を含めるかを、頼むときに先に伝えてください。
壁|下地を開けてから分かることがある
壁は、開けてみないと分からない部分が残るでしょう。砂壁の奥が土壁だった、下地が傷んでいた、という話は和室では珍しくありません。
見積もりに「下地の状態によっては別途」と書かれていたら、どこまでが別途なのかを聞いてください。ここを曖昧にしたまま進めると、あとから金額が動きます。
和室は一面あたりの壁が小さいので、クロスの単価より下地の手間で金額が決まります。安い材を選んでも、総額はあまり下がらないのです。
替える場所が決まったら、見積もりを取る段階です。同じ条件で2社から3社に出すと、範囲の取り方の違いまで見えてきます。下の2社は、どちらも一度の入力で複数社に依頼できます。
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工事を小さくする方法は3つ|費用と戻しやすさの違い

4か所すべてを業者に頼まなくても、洋室に近づける方法があります。敷く、張り替える、残すの3つです。
この順に手間も費用も小さくなり、元に戻しやすくなります。賃貸でも試せるのは最初の2つでしょう。
敷く|畳の上に置くだけなら元に戻せる

畳を外さずに、上からフロアタイルやウッドカーペットを敷く方法です。床を傷めないので、退去のときに外して戻せます。
畳の上に敷くと、その分だけ床が上がります。敷居やドアの下に余裕があるかを先に測ってください。
湿気がこもりやすいところでもあります。長く敷いたままにするなら、ときどき外して乾かすほうが安心でしょう。
フロアタイルは1枚ずつ敷けるので、6畳を一度に仕上げなくても構いません。半分だけ敷いて、様子を見てから残りを足すこともできます。
張り替える|襖を洋風の紙にすると建具を替えずに済む

襖はそのままで、紙だけを洋風のものに替える方法です。枠も戸も替えないので、工事になりません。
無地や織物風の紙を選ぶと、襖だと分かりにくくなります。引手を目立たない色に替えると、さらに洋室に寄るのです。
張り替えは専門の店に頼めます。自分で貼る道具も売られていますが、4枚そろえて仕上げるのは手間がかかるでしょう。
紙は片面だけ替えることもできます。部屋側だけ洋風にして、廊下側は和のまま残すという選び方もあるのです。
残す|天井と壁はそのままでも洋室に見える

替えないという選び方もあります。床と建具が洋室になっていれば、天井と壁が和風のままでも部屋の印象は変わるのです。
柱が見える真壁も、家具とカーテンを洋風に揃えると気にならなくなります。先に家具を入れてみて、それでも気になるところだけ替えるという順番もあるでしょう。
残すと決めた場所は、見積もりのときに伝えてください。頼まないと分かっていれば、業者も範囲を絞って出してくれます。
残した場所は、あとからでも替えられるのです。先に床と建具を替えて、1年住んでみてから決めても遅くはありません。
床の間と押入れの扱い方|洋室にするときの決め方

和室には、洋室にはない場所が2つあります。床の間と押入れです。この2つをどうするかで、洋室にしたあとの使い勝手が決まります。
床の間|収納に変えると部屋が広く使える
床の間をそのまま残すと、洋室のなかに和の一角が残ります。飾る場所として使うなら残す意味がありますが、使い道がないなら収納に変えるほうが部屋は広く使えるでしょう。
撤去するか、棚を入れて収納にするか。撤去だけは元に戻せないので、迷っているうちは収納で様子を見る手もあります。
残すと決めたなら、床柱と落し掛けはそのままにしておきましょう。洋室のなかでも、この2つは作り直せない部材です。
あわせて読みたい床の間のリフォーム|活かす・収納・撤去の決め方と費用棚を入れて使う場合の寸法の見方は、こちらの記事をご覧ください。幅と奥行の測り方から書いています。
あわせて読みたい床の間の収納アイデア|クローゼット・本棚・デスクへの変え方押入れ|クローゼットにすれば洋室として成立する
押入れは布団をしまう形なので、奥行が深く、中棚で上下に分かれています。洋服を掛けるなら、中棚をどうするかが分かれ目です。
襖を外して扉を付けるか、襖のまま使うか。襖を洋風の紙に替えるだけでも、クローゼットとして見えるようになります。
奥行は、洋服を正面向きに掛けるには深すぎることがあります。手前に空きが出るので、前後2列にするか、手前を棚にするかを決めてください。
測る場所とつくり方は、押入れの記事に詳しく書きました。賃貸でできる範囲は、そちらが詳しいでしょう。
あわせて読みたい押入れをクローゼットに!賃貸でもできる方法と測り方まとめ
和室を洋室にするときに替えるのは、床・壁・建具・天井の4か所でした。どれを替えてどれを残すかが決まれば、工事の範囲も金額も決まります。
ただし、マンションの管理規約、賃貸の原状回復、建物の構造の3つは、工事の内容より先に決まります。替える場所を決める前に確かめてください。
金額が動くのは、床の面積、建具の枚数、壁の下地の3つです。とくに下地は開けてから分かるので、見積もりの「別途」がどこまでかを先に聞いてください。
全部を業者に頼まなくても構いません。畳の上に敷く、襖の紙を替える、天井と壁は残す。この3つだけでも部屋の印象は変わります。
床の間と押入れは、洋室にしたあとの使い勝手を左右します。撤去は元に戻せないので、迷っているうちは収納として様子を見るのがおすすめです。
どこまで替えるかが決まってから、見積もりを取ってください。範囲が決まっていれば、金額は比べられる形で出てきます。
洋室にしたあと、何をどう置くかは部屋の広さで変わります。畳数別の使い方は別の記事にまとめましたので、あわせてご覧ください。
あわせて読みたい和室の活用アイデア|床の間・押入れ・部屋別の使い道
