床の間に壺を飾ろうとすると、いくつか迷うポイントが出てきますよね。「真ん中に据えるのか、端へ寄せるのか」「壺の向きはどうすべきか」。決まりがあるのかどうかも分からず、そのまま箱へ戻してしまう方もいるでしょう。
決めることは多くありません。床の間での置き方、壺の向き。壺の飾り方は、この2つが決まればほとんど整います。
この記事では、床の間に壺を置くときのポイントから、沈香壺と飾壺の違い、向きの決め方、一緒に飾るもの、床の間に入らないときの置き場所までをご紹介します。床の間の壺をどう飾るか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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床の間に壺を置くときのポイント3点

壺は、床の間にあるもののなかでいちばん大きく、いちばん重い器です。そのぶん置ける場所が限られます。
見るのは3点だけです。床板のどこに据えるか、どこには載せないか、掛軸とどう並べるか。順に見ていきましょう。
床板|壺は台に載せず直に置く
床板とは、床の間の床にあたる板の面です。畳より一段高くなっているところで、正式な名前は地板です。
壺はこの床板に直に置きます。香炉のように花台や香台へ載せて高さを足す必要はありません。壺はもともと背が高いので、台に載せるとかえって頭でっかちに見えてしまうのです。
据える位置は、床板の中央から左右どちらかへ寄せてください。真ん中にひとつだけ置くと、左右の余白がそろいすぎて飾り棚のように見えます。
違い棚|香炉や小物を載せる段にする
床の間の隣に、段違いの棚が付いている家もあるでしょう。この棚を違い棚といいますが、ここに壺は載りません。
段と段のあいだは25cmから30cmほどです。出し入れの余裕を見ると、置けるのは高さ21cmまで。当社で扱う壺はいちばん背の低いもので23.8cmあり、どれも収まりません。
違い棚には香炉や小さな置物を載せて、壺は床板へ。この分け方にすると、高さの違いも自然に出てきます。床の間の寸法の測り方は、こちらの記事をご覧ください。
あわせて読みたい床の間の飾り方|置くものの選び方と花瓶・壺・香炉の寸法掛軸|真下を外して半分ずらす
掛軸を掛けているなら、その真下に壺を据えないでください。縦に伸びるもの同士が重なって、どちらも窮屈に見えます。
壺は掛軸の幅の半分ほど、左右どちらかへずらします。掛軸の軸先と壺の肩が重ならない位置が目安でしょう。
掛軸がない床の間なら、この制約はありません。壺を中央寄りに据えて、主役として見せる置き方もできます。
壺の種類で扱いが変わる|沈香壺・飾壺・花瓶の違い

床の間に置く大きな器は、ひとまとめに「壺」と呼ばれがちです。ただ中身は3つに分かれていて、扱い方がそれぞれ違います。
見分けるのは難しくありません。背が高くて細いのが沈香壺、低くて胴が張るのが飾壺、口がすぼまっているのが花瓶です。
沈香壺|蓋を閉めて姿を見せる
沈香壺は、香木を納めた壺に由来するともいわれる器です。香を焚く道具ではありませんし、花を入れる器でもありません。
ですから蓋を閉めたまま置きます。中に何も入れず、器そのものの姿を見せる置き方です。開けておく必要はありませんし、開けたままだと埃も入ります。
形は縦に長く、当社の2点はいずれも高さ31cmから32cm、最大径は12cm台です。幅を取らないので、奥行の浅い床の間にも据えられます。
飾壺|背が低く胴が張るので奥行が要る
飾壺は、見て楽しむために作られた壺です。胴がふくらんで口も広く、沈香壺より背が低くなります。
当社の飾壺は高さ23.8cmに対して最大径が17.6cmあり、沈香壺の径12cmと比べると一回り太いことが分かります。そのぶん床板の奥行を使うので、浅い床の間では前にはみ出しやすいところに気をつけてください。
口が広いので花を入れることもできます。ただ無理に入れなくてかまいません。釉薬や絵付けを見せたい器なら、空のまま置くほうが姿はよく見えるでしょう。
花瓶|口径で活け方が変わる
花瓶は、花を入れるために口がすぼめてある器です。壺と並べると、首が細く立ち上がっているところで見分けられます。
花を入れるなら、決め手になるのは口径です。当社の花瓶でいえば、高さ30cmの大きな器でも口径は7.3cmしかありません。枝を1本挿せば、それだけで角度が決まります。
口径ごとの活け方と水の替え方は、こちらの記事をご覧ください。
あわせて読みたい床の間の花の飾り方|活け方と置く位置・水の管理当社で扱っている壺と、壺として据えられる大きな器を並べました。88,000円から330,000円まで6点です。
径12/高32cm沈香壺 染付山水図藤井錦彩88,000円(税込)商品を見る
径12.5/高31cm沈香壺 染錦牡丹花篭図藤井錦彩132,000円(税込)商品を見る
径17.6/高23.8cm飾壺 天目金彩・白金彩龍図藤井錦彩154,000円(税込)商品を見る
径17.5/高27.5cm飾り花瓶 染錦金彩孔雀牡丹図藤井錦彩242,000円(税込)商品を見る
口径7.3/高30cm染付草花紋花瓶(初代真右衛門作)真右エ門窯297,000円(税込)商品を見る
径16.5/高25.5cm飾り花瓶 染付龍絵惣次郎窯330,000円(税込)商品を見る壺の向きの決め方|図柄・蓋・座る位置

壺は丸いので、どちらを前にしても置けてしまいます。だからこそ向きを決めておかないと、日が経つうちに少しずつ回ってしまうのです。
手がかりは3つあります。絵の正面、蓋のつまみ、そして人が座る位置です。
図柄|絵の正面を部屋の中央へ向ける
絵付けのある壺には、見せるために描かれた面があります。その面を部屋の中央へ向けてください。床の間の正面ではなく、人のいるほうです。
どこが正面か分からないときは、裏を探すほうが早く見つかります。図柄の継ぎ目や、窯元の落款がある面が背です。絵が途切れているところ、余白が多いところを壁側へ回せば、残った面が正面になります。
牡丹や鶴のような主題がはっきりした絵なら、いちばん大きく描かれている面で判断できるでしょう。山水図のように絵が一周しているものは、どこを前にしても構いません。
蓋|つまみの向きを図柄とそろえる
沈香壺のように蓋のある壺は、蓋だけが別に回ってしまうことがあります。
つまみに向きがあるなら、胴の図柄とそろえてください。宝珠のような円いつまみなら向きはありませんが、蓋の絵柄と胴の絵柄は合わせておきます。ここがずれていると、正面から見たときに落ち着きません。
掃除で持ち上げたときは、蓋の位置を戻すところまでをひと続きにしてください。胴だけ直して蓋を忘れると、正面から見たときに違和感が残ります。
座る位置|来客の日だけ客席へ回す
ふだんは部屋の中央に向けておけば十分です。家族が通りがかりに見る向きがそれだからです。
人を招く日だけ、客が座る位置から正面に見えるように回してください。和室では床の間を背にする席が最上座なので、客はそこに座ります。つまり壺の正面は、床の間の向かい側へ向くわけです。
毎回動かすのが負担なら、ふだんの向きのままで構いません。向きを細かく直すより、埃を払っておくほうが見た目に効きます。
壺と一緒に飾るもの|香炉・花・壺だけ
壺を置いたあと、隣に何を足すかで迷う方もいるでしょう。足せるものは香炉と花の2つ、そして何も足さないという選び方があります。
香炉|高さをずらして重ねない
香炉は平たくて背が低い器なので、縦に長い壺とは形が重なりません。並べるなら相性のいい組み合わせでしょう。
置くときは、壺と香炉を横一列に並べないでください。壺を床板に、香炉を違い棚か香台に載せると、高さに段差が出て奥行きが生まれます。違い棚に置けるのは高さ21cm以下なので、香炉ならちょうど収まります。
香炉の選び方と、焚かない日の扱いはこちらの記事をご覧ください。
あわせて読みたい香炉の飾り方|床の間での置き場所・向き・大きさ花|壺の隣に細い花瓶を置く
花も飾りたいとき、壺に直接挿そうとする必要はありません。沈香壺は花を入れる器ではないからです。
花を見せたいなら、壺の隣に首の細い花瓶を1つ置いてください。口径3cmほどの細口なら、枝を1本挿すだけで形が決まります。壺が大きいぶん、花瓶は小ぶりなもののほうが釣り合うでしょう。
飾壺のように口の広い器なら、そこへ直接入れても構いません。種類によって変わるところです。
壺だけ|1点でも床の間は成立する
何も足さずに、壺だけを置いておくこともできます。むしろ壺は1点でも床の間が成り立つ、数少ない器です。
理由は大きさです。床板の幅が91cmの床の間に、高さ30cm前後の器がひとつ据わっていれば、それだけで余白が締まります。小さな置物を並べたときのように散らかって見えないのです。
花のように水を替える手間もなく、香のように道具を揃える必要もありません。まず壺を1点置いてみて、物足りなければあとから足していきましょう。
床の間に壺が入らないとき|和室での置き場所

大きな壺は、床の間に収まらないこともあるでしょう。床の間がない和室なら、そもそも置き場所から決めなくてはなりません。
入るかどうかの目安は奥行です。最大径が奥行の3分の1までなら据わりよく収まります。奥行45cmの浅い床の間なら15cmまで、91cmの本格的な床の間なら30cmまで。当社の大花瓶は径34cmあるので、浅い床の間には入りません。
花台|畳に直に置かず台に載せる
畳の上へ壺を直に置くのは避けてください。当社の壺は1.9kg、大きな花瓶では3.3kgあります。この重さが一点にかかると、畳表がへこんで跡が残ります。
花台か飾り台を1枚挟んでください。畳との接地面が広がって重さが散るうえ、壺の足元が締まって見えます。高さ10cmから20cmほどの低い台が合うでしょう。
花を入れる器なら、水にも気をつけたいところです。畳にしみた水は輪染みになり、元には戻りません。台の上に敷く布や板は、水を吸わないものを選んでください。
置き場所|部屋の隅か床の間の前に寄せる
和室のどこへ置くかは、人の通り道から考えると決まります。壺は倒れると割れる器なので、動線を外した場所が基本です。
選びやすいのは部屋の隅でしょう。2面が壁なので当たりにくく、背景が無地になるぶん器の輪郭も出ます。床の間がある部屋なら、床の間の脇へ寄せる置き方もできます。
避けたいのは襖や障子の際です。開け閉てのたびに裾が触れますし、人の出入りでも揺れます。窓際も日が当たるので、金彩や銀彩のある器には向かないでしょう。
床の間がない和室|壁際に飾り台を据える
床の間がない和室でも、飾る場所はつくれます。必要なのは壁と台の2つだけです。
壁際に低い飾り台を1つ据えて、その上に壺を置いてください。壁に陶額を掛けられるなら、掛けるものと置くものが1か所に集まって、床の間と同じ役割を果たします。工事はいりません。
和室そのものの使い道から考えたい方は、こちらの記事もご覧ください。
あわせて読みたい和室の活用アイデア|目的別に手をつける順番と費用の目安まとめ
床の間の壺は、置く場所と向きの2つが決まればほとんど整います。台に載せず床板へ直に据えて、図柄の正面を部屋の中央へ向ける。あとは掛軸の真下を外すだけです。
- 壺は床板に直に置く。違い棚に収まる壺はない(棚は21cm以下、いちばん低い壺で23.8cm)
- 掛軸があるなら、その幅の半分ほど左右へずらす
- 沈香壺は蓋を閉めたまま。香木を納める壺なので花は入れない
- 飾壺は口が広いので花も入る。入れずに器だけで置いてもよい
- 向きは図柄の正面を部屋の中央へ。来客の日だけ客席へ回す
- 床の間に入らないときは、畳に直置きせず花台に載せて部屋の隅へ
壺は1点でも床の間が成り立つ器です。花のように水を替える手間も、香のように道具を揃える必要もありません。まず置いてみて、物足りなければあとから香炉や花を足していきましょう。
壺や花瓶をお探しでしたら、本店の一覧もご覧ください。


