家でウイスキーを飲む皆さん。グラスだけ、買ってきたときのままではありませんか。
銘柄は選ぶ。氷にも気を使う。それなのに器だけ、量販店のガラスのまま。もったいない話です。
有田焼にも、ロックで飲むためのグラスがあります。厚みのある磁器に変えるだけで、一杯のもち方が変わります。
数が多くて迷いそうに見えますが、見るところは3つだけ。この記事では、その3つと、実際に選べる10客をご紹介します。
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この記事に掲載した価格は2026年9月7日に自社ECの表示と照合した税込価格です。在庫状況により変動する場合があります。
磁器のグラスに変えると一杯が長くもつ

まず、なぜ器を変えるのかから。有田焼は陶器ではなく磁器です。ここを取り違えると、器の性格を読み違えます。
厚みがあるぶん氷が長くもつ
ロックで飲むとき、いちばんの敵は時間です。氷が溶けて、味が薄くなる。誰もが経験しているはずです。
そこで効いてくるのが器の厚みです。有田焼のグラスは、量販店のガラスより明らかに厚くなっています。手のひらで包んでも、熱が中まで届きにくいのです。
結果として、ゆっくり飲んでも最後の一口まで味が保たれます。これは編集部の見方ですが、器を持ち替えると誰でも分かる差です。
なお当店では、この形の器を「焼酎グラス」の名前で扱っています。商品ページにも「ロックカップ」「フリーカップの形状」と書かれているとおり、焼酎専用ということではありません。
琥珀色は上から覗いて楽しむ
磁器のもう1つの性格が光を通さないことです。ガラスなら横から中身が透けますが、磁器は透けません。
ではウイスキーの色は見えないのかというと、そうでもない。上から覗けば、器の底まで琥珀色が広がっています。
器を口へ運ぶたびに、その色が目に入る。横から眺めるガラスとは、酒との向き合い方が変わります。
氷の溶け具合も、上から見れば一目で分かります。そろそろ飲み切ろう、という判断が器のなかで完結する。横目で残量を測る必要がありません。
ちなみに日本酒を注ぐ徳利とぐい呑みは、組でそろえる別の器です。そちらは記事を分けています。
あわせて読みたい人を招く夜が変わる有田焼の酒器セット|徳利とぐい呑みを選ぶ3つの見方ロックで飲む器の選び方|3つの条件

ここからが本題です。氷を入れて、時間をかけて飲む。この飲み方に合うかどうかを3つで見ます。
ガラスのロックグラスを選ぶときとは、見るところが変わります。磁器は中身が透けないからです。
段付きかなめらかか

1つ目。これが最初の分かれ道です。胴に横の窪みが並ぶ「段付き」の形と、口から腰まで一続きの「なめらか」な形があります。
段付きは竹の節を写した形で、商品ページには「握りやすく、落としにくい」と書かれています。氷を入れれば外側は濡れるもの。その状態で持つ器なので、この差は小さくありません。
なめらかな形の利点は別のところに。器を一周する絵が、段で途切れません。刷毛目も色絵も、こちらのほうが見せ場をつくれます。
どちらが優れているという話でもないでしょう。濡れた器を持つか、絵を見るか。そこで決まります。
内側の色で琥珀色の見え方が変わる

2つ目は内側の色です。外から見ても分かりません。上から覗いて確かめる必要があります。
この10客を1客ずつ写真で確認したところ、内側が白磁のものが3客、色釉のものが7客でした。
白磁なら、注いだ酒の琥珀色がそのまま出ます。氷の輪郭も、残りの量も見える。色釉だと器の色が勝つので、酒の色は沈みます。
ただし色釉には色釉の見どころが。覗き込むと、辰砂の赤や瑠璃の青がそこに広がっています。酒の色を見るか、釉薬の景色を見るか。ここも好みです。
満水250mlか350mlか
3つ目は容量です。実測で250mlから350ml。真右エ門窯は280mlが標準になっています。
満水の数字なので、実際にはここまで入れません。氷を2つ3つ落として注げば、酒はその半分ほど。280mlの器なら100ml前後という見当です。これは編集部の目安です。
ロックで飲むなら280mlで十分足ります。水割りやハイボールにするなら350mlのほうが余裕を持てるでしょう。
ここまでが3つの条件。この3つ以外は好みで選んでかまいません。外側の色も絵柄も、飲み心地を変えないからです。
【段付き】濡れても滑らないグラスの選び方

条件1で分かれた片方から。胴に窪みが並ぶ形です。
高10.5/径8.5cm焼酎グラス 段付燿変辰砂真右エ門窯6,600円(税込)商品を見る
高10.2/径8.8cm段付焼酎グラス 瑠璃水滴真右エ門窯6,600円(税込)商品を見る
高10.5/径8.5cm段付焼酎グラス 砧青磁真右エ門窯7,700円(税込)商品を見る
高10.2/径8.8cm焼酎グラス イラボ釉彩真右エ門窯7,700円(税込)商品を見る
6,600円から7,700円まで4客。4客とも真右エ門窯です。当店でこの形をつくっているのは、いまのところこの窯元だけになります。
メリット|竹の節が指を受け止める
この形の利点は1つだけです。濡れた手でも滑りにくくなります。
窪みは竹の節を写したものです。商品ページにも「握りやすく、落としにくい」「酔っても落としにくい」と書かれています。作り手が意図してつけた形です。
氷を入れたグラスは、外側が必ず濡れます。結露した器を、握力の落ちた手で持つ。この場面を想像すると、窪みの意味が分かるはずです。
もう1つ、指の位置が自然に決まるという効果も。どこを持つか迷わないので、器の扱いが雑になりません。
選ぶポイント|内側の色で決める
4客の寸法はほとんど同じです。高さ10.2cmから10.5cm、径8.5cmから8.8cm。手に持ったときの差はありません。
では何で決めるか。内側の色です。4客ともここが違います。
- 燿変辰砂——覗き込むと赤紫。ルビーのような色が底にたまります
- 瑠璃水滴——深い青。夜に映える色で、外側も同じ瑠璃
- 砧青磁——淡い水色。4客のなかでいちばん静かな色です
- イラボ釉彩——黄土色。琥珀色に近いので、酒の色となじみます
どれも外からは分かりません。この4客は、上から覗いた景色を買う器だと考えてください。
氷を多めに入れる人におすすめ
まとめると、こういう飲み方の人におすすめです。氷をたっぷり入れて、しっかり冷やして飲みます。
氷が多いほど器は濡れます。濡れるほど、窪みの効き目が出る。逆に氷を1つだけ落とす飲み方なら、この形にこだわる理由は薄くなります。
価格も4客とも1万円以下。はじめの1客として選びやすい帯にそろっています。
【なめらか】絵柄を楽しむグラスの選び方

もう片方です。口から腰まで一続きの形です。
高11/口径8.5cm焼酎グラス 波刷毛臥牛窯8,800円(税込)商品を見る
高10.5/径8.5cm・250ml焼酎グラス 藍染水滴 “晴天”真右エ門窯14,300円(税込)商品を見る
高11/口径8.5cm・350ml焼酎グラス 鷺図臥牛窯16,500円(税込)商品を見る
高10/径8.2cm・175g焼酎グラス 染錦吉祥松竹梅図虎仙窯19,800円(税込)商品を見る
高10/径8.2cm・175g焼酎グラス 染錦吉祥桜図虎仙窯19,800円(税込)商品を見る
高8/径8cm・受注生産焼酎グラス 黒有田色絵プラチナ彩小畑裕司51,150円(税込)商品を見る8,800円から51,150円まで6客。作り手は真右エ門窯・臥牛窯・虎仙窯・小畑裕司の4者に分かれています。
メリット|器を一周する絵が途切れない
この形の利点は見た目のほう。胴に段がないので、絵も刷毛目も切れずに続きます。
たとえば臥牛窯の鷺図。刷毛目の地に白い鷺が立ち、器を回すと景色が動きます。長崎県の無形文化遺産に選ばれた技法だと商品ページにあります。
虎仙窯の2客は色絵です。松竹梅と桜が、白磁の地に一周する。段があるとこうはいきません。
手のひらで包める点も、こちらの利点。凹凸がないぶん、器の丸みがそのまま手に伝わります。
選ぶポイント|白磁か色釉かで決める
6客は内側の色で2つに分かれます。白磁が3客、色釉が3客です。
白磁は藍染水滴 “晴天” と、虎仙窯の2客。注いだ琥珀色がそのまま見えます。氷の輪郭も、残りの量も分かります。
色釉は臥牛窯の2客と、小畑裕司の黒有田。刷毛目の灰と、黒。酒の色は沈みますが、器の景色はこちらが濃くなります。
迷ったら白磁を。ウイスキーの色を見ながら飲むほうが、器を替えた実感は出ます。これは編集部の見方です。
手のひらに収めたい方には背の低い1客
6客のうち5客は高さ10cmから11cm。1客だけ形が違います。
小畑裕司の黒有田は、高さ8cm・径8cm。この記事でいちばん低く、口の広い形です。ガラスのロックグラスに近い姿です。
背が低いぶん、手のひらにすっぽり収まります。器を包んで香りを立てる飲み方をするなら、この1客です。
ただし受注生産で、届くまで約1ヶ月かかります。急いでいる方はご注意ください。
決めきれないときは作り手で選ぶ

3つの条件で並べても最後の1客が決まらない。そういうときは作り手から入ってください。この10客は4者の手によるものです。
有田焼はひとつの様式ではありません。窯元と作家によって、見せ方がはっきり分かれます。色で見せるのか、絵で見せるのか。ここを知っておくと、次に器を買うときにも効いてきます。
真右エ門窯|釉薬の色で見せる
10客のうち5客がこの窯元です。絵を描かず、釉薬の色そのもので見せます。
辰砂の赤、瑠璃の青、青磁の緑、イラボの黄土。1客ごとに窯のなかで色の流れ方が変わるので、同じ商品でも同じ景色にはなりません。
段付きの4客もここ。色で選びたい方、そして予算を1万円以下に置きたい方は、まずこの窯元から見てください。
辰砂・砧青磁・藍染水滴といった釉薬の色は、別の記事で色ごとにくわしく扱っています。
あわせて読みたい無垢テーブルに合う器の色|オーク・ウォルナット・チェリー別の選び方臥牛窯|刷毛目の地に絵を描く
2客が臥牛窯です。刷毛目という、土の上に刷毛の跡を残す技法が持ち味になります。
波刷毛は刷毛目だけで見せる1客。鷺図はその地に白い鷺を描いたもので、商品ページでは代表的な柄として紹介されています。
鷺図はこの記事でいちばん大きい満水350ml。水割りやハイボールにも余裕があります。
虎仙窯|鍋島の色絵で軽い
2客が虎仙窯。鍋島様式の色絵で、白磁の地に松竹梅と桜が描かれています。
特徴は重さです。実測175gと、この10客でいちばん軽い。高さ10cm・径8.2cmと、寸法もひと回り小ぶりです。
手に負担をかけたくない方、器を持ち上げる回数が多い方にはこの2客でしょう。内側が白磁なので、琥珀色もそのまま見えます。
小畑裕司|黒地に極細の筆
1客だけの作家ものです。「黒有田」は、ろくろで挽いた器に黒艶の釉薬をかけ、極細の筆で色絵を描いたものと商品ページにあります。
柿右衛門様式は白磁を背景に描くのが一般です。黒を背景にするのは類例が見当たらない試みだと書かれています。
価格は51,150円。この記事でひとつだけ、桁の違う1客になります。桐箱がつきます。
1点だけ注意を。この1客は受注生産で、商品ページに「お届けまで約1ヶ月ほど」と明記されています。贈りものに使うなら逆算が要ります。今夜から使いたい方は、ほかの9客から選んでください。
もっとおいしく飲むための使い方

器が届いたあとの話を3つだけ。どれも今夜から試せます。
グラスを先に冷やしておく
いちばん効くのがこれです。飲む30分前に、器を冷蔵庫へ入れておきます。
厚みのある磁器は、温まりにくいかわりに冷めにくい器でもあります。冷やしてから使えば、その冷たさが長く残る。氷の溶ける速さが変わります。これは編集部の見方です。
常温の器に氷を入れると、最初の数分で氷が痩せます。器を冷やすだけで、その分がまるごと浮くと考えてください。
氷は大きいものを選ぶ
2つ目。小さい氷をたくさんより、大きい氷を少なく入れてください。
同じ量なら、小さく割れているほど酒に触れる面が広くなります。触れる面が広いほど早く溶けるので、味が薄まるのも早いのです。
口径8.2cmから8.8cmあるので、市販のロックアイスもそのまま入ります。製氷皿の小さな氷しかない日は、数を減らして注ぐ量も控えめにしてください。
注ぐのは器の半分まで
3つ目。満水280mlの器に、酒は100ml前後。これが目安です。
なみなみ注ぐと、上から覗いたときに水面が近すぎます。器の内側の色も、氷の輪郭も見えなくなる。半分ほどで止めると、覗き込む余白が生まれます。
飲み終えたら、そのまま次を注がずに一度洗う。器が冷えたままなら、2杯目も同じ温度で飲めます。
飲む場所そのものを整えたい方は、こちらの記事もご覧ください。
あわせて読みたい晩酌をより豊かにする7つのポイント|器と明かりで作る和モダンな晩酌スペース
グラスが決まったら、次は中身。山崎や響などの希少ウイスキーと古酒を専門に扱う店です。
希少ウイスキー・古酒の専門店 リンクサス酒販|山崎・響から海外銘醸ワインまで【リンクサス酒販】リンクサス酒販(アフィリエイト広告)
選ぶ前に確かめること

買ってから気づくと面倒なことが2つあります。
手作りなので寸法に幅がある
この記事に載せた寸法と容量は、すべて実測値です。ただしろくろで挽いた器は1客ごとに差が出ます。数ミリの違いは起こるものです。
釉薬の景色も同じです。同じ商品でも、色の流れ方は同一になりません。欠点ではなく、この種の器の性質です。
金彩・銀彩は電子レンジに入れられない
ロックで飲む器なので出番は少ないはずですが、念のため。金や銀を使った器は、電子レンジに入れられません。火花が出るためです。
有田焼には金彩・銀彩を施した器が少なくありません。湯を入れて温めるような使い方をするなら、購入前に商品ページで絵付けの内容を確かめてください。
洗い方としまい方の全体は、扱い方の記事にまとめてあります。
あわせて読みたい有田焼と暮らす扱い方|洗う・しまう・直すで迷わないための実務有田焼をもっと知る

器そのものの背景については、本店のブログでくわしく解説しています。
まとめ

ウイスキーをロックで飲むグラスの選び方を整理しました。
- 磁器は厚みがあるので氷が長くもつ。琥珀色は上から覗いて楽しむ
- 1|段があるか、なめらかか。濡れた器を持つなら段付き、絵を見るならなめらか
- 2|内側の色。白磁3客は琥珀色が見え、色釉7客は釉薬の景色が出る
- 3|満水250mlから350ml。ロックなら280ml、割るなら350ml
- 決めきれないときは作り手で。真右エ門窯5客・臥牛窯2客・虎仙窯2客・小畑裕司1客
6,600円から。まず1客そろえて、今夜の一杯を注いでみるところからで構いません。
1客だけ買って、いつものグラスと飲み比べてみるのもおすすめ。同じ量、同じ氷で並べると、器の違いがはっきり出ます。
ひとりで過ごす部屋の器については、こちらにまとめてあるとおりです。
あわせて読みたいひとりの時間が変わる有田焼の湯呑とマグカップ|書斎に置く一客の選び方最後にひとつだけお伝えします。
同じ酒でも、注ぐ器で残り方が変わるのです。銘柄を選ぶのと同じだけの手間を、器にも一度かけてみてください。その一杯は、たぶん少し長くなります。


