使わなくなった床の間に、扇風機や段ボール、季節外れの家電が置かれている。片づけたいけれど、ほかに置く場所もない……。
そんな床の間を、収納として使えるようにする方法があります。
クローゼットにする、本棚にする、デスクにする。調べるといろいろな例が見つかるでしょう。けれど、どれが自分の家でできるのかまでは書かれていません。
この記事では、床の間の用途の見極め方、そのために測る場所、用途別のつくり方、中身の隠し方までをご紹介します。使い道に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
当メディアを運営するJTOPIAは、有田焼をはじめとする伝統工芸品を扱う事業者です。工事そのものは当社の取扱い対象外なので、施工の手順ではなく、寸法の見方と手段の違いを扱いました。記事内の寸法は一般的な値なので、建物による差があるとお考えください。なお記事内の一部のリンクにアフィリエイト広告を利用しています。詳しい編集方針は運営者情報・編集方針をご覧ください。
床の間の使い道はサイズ次第|まずは寸法を測る

測るのは4か所です。間口、奥行、有効高さ、棚の段。この4つが分かれば、どの用途が作れるかはその場で判断できます。
とくに落としやすいのが有効高さです。天井までの高さではなく、床板(畳より一段高い板の面)の上端から落し掛け(上部の横木)の下端まで。つまり実際に物を置ける範囲の高さになります。
メジャーと紙が1枚あれば10分で終わります。数字を4つ書き出してから、次の用途の話に進んでください。
間口|半間なら幅90cmまでの棚が入る

床の間の間口は、半間の約91cmか、一間の約182cmが一般的です。まずどちらかを確かめてください。
半間なら、幅90cmまでの棚が収まる計算になります。市販の棚は幅87cmや幅90cmのものが多いので、選べる範囲は意外と広いでしょう。
一間あるなら、幅の狭い棚を2つ並べる手もあります。片側を収納、片側を飾る場所として分ければ、和室らしさを残したまま使えるのです。
測るときは、床柱の内側から反対側の壁までを取ってください。柱の外側から測ると、実際より広い数字が出てしまいます。
一間の床の間に棚を2つ並べると、真ん中に継ぎ目が出ます。1台で幅を埋めたいなら、幅を指定して作れる棚を選ぶことになるでしょう。
奥行|45cmか91cmかで置けるものが変わる

奥行は建物による差がいちばん大きいところです。略式のものだと45cm程度、本格的なつくりだと91cmあります。
ここが用途の分かれ目です。本棚や見せる収納なら30cm前後で足りるので、45cmしかなくても問題ありません。洋服を掛けるときだけは事情が違うのです。
奥行は正面図には出てきません。図面を見ても分からないので、平面で測ってください。メジャーを床板の手前から壁まで当てるだけで済みます。
棚を入れるなら、奥行より少し浅いものを選ぶのがおすすめです。手前に数cmの余白ができると、器や本を斜めに傾けずに出し入れできます。
有効高さ|155cmから165cmで棚は5段とれる

有効高さは約155cmから165cmが一般的です。ここに何段の棚が入るかを考えます。
棚の段を25cmから30cmで取るなら、5段前後が収まる計算になります。文庫本や器なら1段25cmで足りますし、A4のファイルを立てるなら1段32cm前後を見ておくとよいでしょう。
上の1段は、立っても手が届きにくい高さになります。軽いものや、年に数回しか使わないものを置く段として考えてください。
寸法の測り方は別の記事で詳しく書きました。部位の名前も図で示しているので、業者に伝えるときの参考になるでしょう。
あわせて読みたい床の間の飾り方|置くものの選び方と花瓶・壺・香炉の寸法用途別のつくり方|4つのアイデア

寸法が分かったら、用途を選びます。床の間をリメイクする方法として現実的なのは、クローゼット、本棚、デスク、見せる収納の4つです。
どれも共通して効くのは、床柱を残したまま作れるということです。和室の顔を壊さずに使える場所へ変えられるので、あとから元に戻すこともできます。
風水が気になる方もいるでしょう。床の間はもともと客を迎えるための場所なので、水気のあるものや生活感の強いものは置かない、という考え方があります。気になるなら、扉で隠すか、見せる収納にしておくと落ち着きます。
クローゼット|奥行が足りなければ横向きに掛ける

洋服を掛けるなら、先に奥行を確かめてください。奥行が45cm程度の床の間では、洋服を正面向きに掛けるには足りないことがあります。
その場合は、横向きに掛けるタイプのパイプを使います。奥行が浅くても掛けられますが、一度に見渡せる枚数は減るでしょう。
奥行が91cmあるなら、正面向きに掛けられます。有効高さも155cm以上あるので、ロングコートも収まる計算です。扉を付けるかどうかは、部屋の使い方で決めてください。
衣類を入れるなら、風の通りにも気を配りたいところです。床の間は三方を壁で囲まれていて空気が動きにくいので、扉を付ける場合は除湿剤を一緒に置いておくと安心でしょう。
同じ和室でも、押入れなら奥行に余裕があります。洋服の量が多い方は、押入れのほうを先に手をつけるという順番もあるでしょう。
あわせて読みたい押入れをクローゼットに!賃貸でもできる方法と測り方本棚|棚板を1cm単位で本や器に合わせる

床の間に置く棚として、本棚はいちばん相性のよい使い方になります。奥行30cmで足りるので、45cmしかない床の間でも作れます。
気をつけたいのは、棚板が動くかどうかです。固定式だと、文庫本の段が余り、大型本が入らないという状態になりがちです。
本の高さは種類でまるで違います。文庫本なら15cm前後、単行本なら20cm前後、画集や図録なら30cmを超えるものもあるでしょう。手持ちのいちばん背の高い本を1冊測っておくと、棚の段を決められます。
本は見た目より重いものです。棚板の耐荷重が書かれていない商品は避けて、幅の広い棚板ほど中央がたわみやすいことも覚えておいてください。
デスク|床板を天板として使う

在宅の仕事で使うなら、床板をそのまま天板にする手もあるでしょう。床の間は壁で三方が囲まれているので、集中しやすい場所になります。
ただし床板の高さは、机として使うには低いことが多いところです。座布団や座椅子で座る前提なら合いますが、椅子に座るなら天板を足すことになるでしょう。
上の空きには棚を入れられます。手元に床板、目の高さに棚板。この組み合わせなら、資料を置く場所まで一度に確保できるのです。
見落としやすいのが電源です。床の間にコンセントが付いている家はほとんどありません。延長コードを使うか、工事で増設するかを先に考えておいてください。
見せる収納|扉を付けずに目の高さの1段に置く

しまうのではなく、見せる使い方もあります。もともと飾るための場所なので、この使い方はいちばん無理がありません。
棚を入れて、目の高さの1段だけ器や本を並べる。あとの段は空けておくか、箱をしまう場所にします。全部を埋めないほうが、置いたものが立って見えるのです。
もうひとつ効くのが明かりです。床の間は奥まっていて昼でも暗いので、小さなスタンドを1つ置くだけで置いたものの見え方が変わります。照明の選び方は、別の記事をご覧ください。
あわせて読みたい和モダンのダイニング照明おすすめ12選と選び方1段に何を何点置くかは、食器棚の記事に詳しく書きました。器の高さから段の内寸を決める話は、床の間でもそのまま使えるのです。
あわせて読みたい食器棚の見せる収納|器の寸法から決める棚と並べ方収納にするのではなく、飾る場所のまま今風にしたい場合もあるでしょう。そのときに変えられるのは3か所しかありません。
あわせて読みたい床の間のおしゃれなアレンジ|工事なしで現代風にする方法つくり方は4つ|手間と戻しやすさの違い

用途が決まったら、あとはどうやってつくるかです。突っ張り棒、既製品、サイズオーダー、造作の4つがあり、この順に手間が大きくなって、元に戻しにくくなります。小さいほうから順に見ていきましょう。
先に言っておくと、いきなり造作を頼まなくて大丈夫です。突っ張り棒で1か月使ってみてから棚を買い、それでも足りなければ工事を考える。この順で進めれば、判断を間違えても損が小さく済みます。
費用は、必ずしもこの順ではありません。幅を指定して作る棚のほうが、既製品より安く収まることもあるのです。
突っ張り棒|壁を触らずに今日から始められる
いちばん手軽なのは、突っ張り棒を1本渡す方法です。壁も床も触らないので、賃貸でも試せます。
洋服を掛けるだけなら、突っ張り棒1本で形になるでしょう。ただし床の間の壁は、真壁のつくりだと土壁や砂壁のことがあります。突っ張り棒の圧で跡が残ることがあるので、あて木を挟んでおくと安心でしょう。
突っ張り棒は耐荷重を確かめてから使ってください。数本まとめて掛けると、思ったより重くなります。落ちたときに床板を傷めることもあるので、余裕を見て選ぶのがおすすめです。
この段階でしっくりこなければ、次に進まなくて構いません。使ってみて「やっぱり棚が要る」と分かってから買うほうが、無駄が出ないのです。
既製品を置く|幅80cmまでなら収まる
収納棚を買って置くだけなら、工事はいりません。既製品の棚は幅60cmと幅80cmが定番なので、間口が半間(約91cm)の床の間なら、幅80cmのものが1台そのまま収まります。
すでに家にあるカラーボックスや衣装ケースを入れるだけでも十分です。カラーボックスは1台の幅が41cmから42cmなので、2台並べて約84cm。半間の間口にちょうど収まる計算です。3台だと約125cmになるので、半間には入りません。
高さは150cm前後までを選んでください。有効高さが155cmから165cmあれば、上に数cmの余裕を残して立てられます。天井までの高さで選ぶと、落し掛けに当たって入らないことがあるのです。
奥行は30cm前後のものが多いので、奥行45cmの床の間でも手前に余白が残ります。本や器を斜めに傾けずに出し入れできる余裕です。
困るのは幅のほうでしょう。間口は91cmちょうどとは限らず、床柱の内側で測ると87cmしかないこともあります。幅80cmの棚なら入りますが、7cmほどの隙間が残るのです。
幅87cmのように、床の間の間口に合わせた寸法を用意しているメーカーもあります。測った間口がそれで足りるなら、注文するより早く届くでしょう。
床の間にそのまま収まる既製サイズです。2点とも幅87cmなので、半間の間口に入ります。


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サイズオーダー|1cm単位で作れるかわりに納期がかかる
床の間は建物ごとに寸法が違うので、既製品では幅が余ることがよくあります。幅を1cm単位で指定できる棚なら、測った寸法どおりに収まります。
棚板が全段動くものを選んでください。本の高さも器の高さも段ごとに違うので、あとから割り直せるかどうかで使い勝手が決まります。
色も見ておきたいところです。床柱や床板が濃い色なら、棚は明るい木の色にすると軽く見えます。逆に白い棚を入れると、和室のなかで浮くことがあるでしょう。
指定するのは、測った間口から1cmか2cm引いた寸法にしてください。壁は完全な直角とは限らないので、ぴったりの数字で頼むと入らないことがあるでしょう。
サイズオーダーは、既製品より届くまでに時間がかかります。来客の予定に合わせるなら、注文の前に納期を確かめておきましょう。
幅を1cm単位で指定できる棚です。間口が87cmでも91cmでも、測った寸法どおりに作れます。

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造作|ぴったり合うかわりに元には戻せない
扉を付ける、床の段差をなくす、壁を仕上げ直す。ここから先は工事になります。
造作にすると、寸法はぴったり合います。そのかわり、一度外した床柱や床板は元に戻せないのです。金額も工事の範囲で動くので、範囲を決めてから見積もりを取ることになるでしょう。
造作を頼むときは、残したい部材を先に伝えてください。床柱や床板は、指定しないと工事の都合で外されてしまうことがあります。
床柱を残すか、段差をなくすか、壁を触るか。この3つを先に決めておくと、見積もりが比べられる形で出てきます。判断の順番については、別の記事をご覧ください。
あわせて読みたい床の間のリフォーム|活かす・収納・撤去の決め方と費用造作で頼むなら、範囲を決めてから見積もりを取ってください。同じ条件で2社から3社に出すと、範囲の取り方の違いまで見えてきます。
後悔しない業者選びなら!リフォーム簡単見積もりサイト【Re:est】Re:est(アフィリエイト広告)
中身の目隠し3つ|隠す範囲ごとの選び方

棚を入れると、こんどは中身が見えるのが気になってきます。来客のときだけ目隠しできればよいのか、ふだんから閉じておきたいのか。どこまで隠すかで、選ぶものが変わります。
ロールスクリーン|全部隠せて使うときだけ上げられる
間口いっぱいを隠せるのがロールスクリーンです。下ろせば中身が全部隠れて、使うときだけ上げておけます。
つっぱり式を選んでください。ネジで留める型だと、落し掛けや床柱に穴が開きます。部材に穴を開けると元には戻せないので、賃貸でなくても避けたいところです。
幅は、測った間口より2cmから3cm小さいものを選びます。ぴったりの寸法にすると、取り付け金具の厚みの分だけ入らなくなるのです。
のれん|上半分だけ隠して風を通せる
全部は隠さなくてよいなら、のれんが軽く収まります。上半分に布がかかるだけなので、和室の雰囲気からも外れません。
風が通るのも利点でしょう。床の間は壁に囲まれていて空気が動きにくいので、衣類や本をしまうなら、閉め切らないほうが湿気はこもりにくくなります。
丈は床板までの長さで選んでください。畳まで垂らすと、出入りのたびに裾を踏むことになります。
扉|ぴったり閉じるかわりに工事になる
生活感をすっかり消したいなら、扉を付けることになります。ここからは造作なので、業者に頼む工事です。
開き戸は手前に開く幅が、引き戸は横へ逃がす壁が要ります。間口が半間しかないと引き戸は分が悪いので、折れ戸にする手もあるでしょう。
扉を付けると、床の間だった面影はほとんど残りません。残したい部材があるなら、見積もりを頼む前に伝えておいてください。
まとめ
床の間の収納は、寸法を測る、用途を決める、手段を選ぶの順で進めると迷いません。アイデアから選ぶと、入らないことに後で気づきます。
測るのは間口・奥行・有効高さ・棚の段の4か所でした。間口が半間なら幅90cmまでの棚が入り、有効高さが155cmから165cmあれば棚は5段前後とれます。
用途で分かれるのは奥行です。本棚と見せる収納は30cmで足りるので、奥行45cmの床の間でも作れます。洋服を正面向きに掛けたいときだけ、奥行を先に確かめてください。
つくり方は4つでした。突っ張り棒から始めて、既製品を置いて、合わなければサイズオーダー、壁や床に手を入れるなら造作。手間の小さいほうから試すと、やり直しがききます。
用途で迷ったときは、いちばん元に戻しやすい見せる収納から試すのも手です。棚を1つ入れて、目の高さに器を並べるだけなら、気に入らなければ動かせます。
中身が見えるのが気になるなら、つっぱり式のロールスクリーンかのれんで隠せます。扉は造作になるので、軽いほうから試してみてください。
和室には、ほかにも使えていない場所が残っているかもしれません。どこから手をつけるかで迷ったら、こちらもご覧ください。
あわせて読みたい和室の活用アイデア|床の間・押入れ・部屋別の使い道まずはメジャーを1本持って、間口と奥行を測るところから始めてみてください。数字が2つ分かるだけで、選べるアイデアが決まります。

