和室の畳を替えたときに、床の間の上も一度きれいに片づけた。それなのに部屋の写真を撮ってみると、そこだけ時代が違って見える。「掃除は行き届いているのに、なぜか野暮ったい」と感じたことはありませんか。
「床の間 おしゃれ」で調べると、整った実例の写真がずらりと並びます。ただその多くは、壁ごとつくり替えたリフォームの事例です。見積もりを取るところから始まる話ばかりで、いま目の前にある床の間を今日どう変えるかまでは、なかなかたどり着きません。
工事をしなくても、床の間の見え方は変わります。動かせるのは背景と置くものと明かりの3つだけで、あとはその3つをどう決めるかの問題です。
この記事では、床の間が古く見える理由から、背景の変え方、置くものの決め方、明かりの足し方までをご紹介します。いまある床の間を今風にしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
当メディアを運営するJTOPIAは、有田焼をはじめとする伝統工芸品を扱う事業者です。工事そのものは当社の取扱い対象外なので、この記事では壁や床に手を入れない範囲だけを扱いました。寸法や配置の目安は、当社が器を扱うなかで使っている考え方です。決まった作法ではない点をご了承ください。なお記事内の一部のリンクにアフィリエイト広告を利用しています。詳しい編集方針は運営者情報・編集方針をご覧ください。
床の間が古く見える3つの理由|背景・置くもの・明かり

床の間が古く見えるとき、原因は木の造りそのものにはありません。床柱も落し掛けも、何十年たっても古びない材料です。古さを出しているのは、あとから人が足したり足さなかったりしたところです。
足せるところは3つに分けられます。奥の壁という背景、床板(畳より一段高い板の面)の上に並んでいる置くもの、そして光の当たり方。どれも道具を持ち出す必要はなく、今日のうちに手をつけられます。
背景|壁と床板の色が浮いて見える
床の間の奥の壁は、部屋のほかの壁より日に焼けた状態です。襖を閉めている時間が長く、空気も動きません。そのぶん色だけが黄ばんで、床板の木の色と合わなくなるのです。
壁紙を張り替えたときも、床の間だけは手をつけずに残すことがよくあります。すると部屋の壁は白く、床の間の奥だけが黄色い、という状態になるのです。ここが「床の間だけ古い」といちばん強く感じる原因だとお考えください。
置くもの|数が多く高さが揃っていない
床の間は物を置ける平らな面なので、置くものが年々増えます。人形ケース、写真立て、いただきものの置物、季節の飾り。ひとつずつは悪くないのに、並ぶと棚の上と同じ見え方になります。
もうひとつ効いているのが高さです。だいたい同じ背丈のものが横一列に並ぶと、奥行きが消えて平らな面に見えてしまいます。数と高さは、あとの章でそれぞれ基準を決めていきましょう。
明かり|奥が暗いままになっている
床の間は部屋のいちばん奥にあり、天井の照明からはもっとも遠い場所です。もともと薄暗いところに飾って眺める場所として作られているので、明かりが足りないのは造りのせいではありません。
ただ、いまの住まいは部屋全体が明るくなりました。まわりが明るいほど、奥だけが沈んで見えるでしょう。
器の色も掛軸の色も、光が届かないところでは灰色に見えてしまうのです。せっかく良いものを置いても、暗がりでは色まで伝わりません。
ここまでが、手をつけられる3か所です。次の章から順に見ていきましょう。背景をいちばん先にするのは、背景が変わると置くものの見え方まで変わるからです。
背景の変え方|貼る・立てる・活かすの3つ

背景というのは、床の間の奥の壁1面のことです。ここだけを変えれば、置くものを買い足さなくても印象は変わります。床柱と落し掛けの木には触りません。
やり方は貼る・立てる・活かすの3通りです。手間の少ない順ではなく、いまの壁がどうなっているかで選ぶのがおすすめです。砂壁なのか、壁紙なのか、板なのかを先に見てください。
貼る|壁紙を1面だけ替える

いまの壁がビニールクロスなら、貼り替えがいちばん確実です。床の間の奥は半間で幅91cm前後、一間でも182cm前後しかないので、部屋の壁を全部やり直すのとは手間の桁が違います。
色は、部屋の壁より半歩暗いものを選んでください。白い部屋に真っ白を貼ると、床の間だけが抜けて見えます。おすすめは、生成り・薄い灰・藍に近い濃い色の3つです。どれかにすると、置いたものの輪郭が立ちます。
賃貸にお住まいなら、はがせるタイプの壁紙という手もあるでしょう。ただし砂壁や京壁のようなざらついた面には貼れません。粉が浮いてくるため、粘着が効かないのです。その場合は次の「立てる」に進みましょう。
立てる|板を1枚立てかけて背景をつくる
壁に手を入れずに背景を変えるなら、板やパネルを1枚立てかける方法があります。奥の壁の幅より少し小さいものを選び、床板の上に置いて壁へもたせかけるだけです。ねじも釘も使いません。
選ぶときは、床柱の木より濃い色にしてください。木と木を同じ明るさで並べると、輪郭がぼやけてしまうのです。和柄のパネルや、布を張ったファブリックパネルも同じように使えます。
立てかけるパネルは、家具の通販でも探せます。和柄のアートパネルは2,948円から21,065円までの4サイズ。床柱の木より濃い色を選ぶと、前に置いたものの輪郭が立ちます。
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立てかけただけなので、来客の日に外すこともできます。戻せるというのが、この方法のいちばんの利点です。
活かす|砂壁はそのままで周りを整える
砂壁や京壁は、それ自体が古いわけではありません。手で塗った面の陰影は、いまの工業製品では出せないものです。むしろ残したほうが、部屋の格が上がる場合もあります。
残すと決めたら、やることは掃除と引き算だけです。まず刷毛かハンディモップで上から下へ一度だけ払ってください。雑巾で拭くと、砂が落ちてかえって傷みます。
そのうえで、壁の前に立てかけてある色の強いもの、たとえば赤い造花や金色の額を外してください。背景が静かな面になると、次の章の「置くもの」が効くようになります。
置くものの決め方|数・高さ・余白の3つの基準

何を置くかより先に、どう置くかを決めたほうが早く整います。同じ器でも、数と高さと余白の取り方で見え方はまるきり変わるからです。
この3つは順番に効きます。先に数を減らし、そのあと高さを見て、最後に余白を確かめてください。
逆からやっても、物が多いままでは違いが出ません。まずは床板の上を一度からにしてみましょう。
数|3点までに絞る
床の間に置くものは3点までをめやすにしてください。掛軸と器と花、あるいは器ひとつと花だけ。4つ目からは、飾っている場所ではなく物を置いている場所に見えてきます。
減らすときに迷ったら、ひとつずつ持ち上げて別の部屋に移してみましょう。戻したくならなかったものが、外していいものです。季節のものは、そのつど入れ替えると数が増えません。
何を残すかで迷う場合は、飾るものの選び方をまとめた記事をご覧ください。花瓶・壺・香炉のそれぞれについて、寸法の見方から書きました。
香炉をひとつ置く場合は、向きと大きさの決め方もあわせてご覧ください。
あわせて読みたい香炉の飾り方|床の間での置き場所・向き・大きさ あわせて読みたい床の間の飾り方|置くものの選び方と花瓶・壺・香炉の寸法高さ|同じ高さを並べない

まず、いちばん高いものを1つ決めてください。花を生けた花瓶でも、壺でも構わないでしょう。残りは、その半分より低いものを選びます。
花を生ける場合の活け方と置く位置は、こちらの記事をご覧ください。
あわせて読みたい床の間の花の飾り方|活け方と置く位置・水の管理半分という数字に決まりがあるわけではありません。ただ、差が小さいと見る側が高低差として受け取らず、結局そろって見えてしまうのです。はっきり差をつけたほうが、奥行きが出ます。
同じくらいの背丈のものが2つあるときは、片方を別の部屋へ移しましょう。並べて置くより、離したほうがどちらも生きるはずです。
余白|3分の1を空ける

床の間の幅のうち、左右どちらかの3分の1は何も置かずに空けてください。中央に寄せて左右対称に置くと、仏壇のような正面性が出てしまいます。
空けた面は、ただの余りではないのです。そこが背景として働いて、置いたものの輪郭をはっきりさせます。前の章で壁を整えたのは、この面を使うためでもあるのです。
どちら側を空けるかは、部屋に入ってくる向きで決めましょう。入口から見て奥にあたる側を空けると、視線は自然に置いたものへ向くはずです。
床の間に置けるものを、本店から4点選びました。高さは10cmから32cmまで、価格は8,800円から220,000円までです。組み合わせると、この章の3つの基準がそのまま効いてきます。




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明かりの足し方|工事なしの置き方と光の選び方

背景と置くものを整えたら、最後に明かりです。床の間は天井の照明からいちばん遠いので、ここだけは足さないと変わりません。
天井に埋め込むような工事は不要です。コンセントが1つあれば、置くか隠すかのどちらかで足せます。
近くに差し込み口がない場合は、電池式や充電式の小さなライトを選びましょう。壁に穴を開けずに済みますよ。
置く|スタンドを床板に1つ置く
いちばん手数が少ないのは、小さなスタンドを床板の端に1つ置く方法です。置く位置は、飾ったものの手前ではなく横です。正面から当てると影が壁に大きく映って、かえって重く見えます。
器を置く床の間なら、光は上に向けるほうが合います。壁を照らした光が回り込んで、器の丸みがやわらかく出るからです。まぶしさが気になるときは、シェードのあるものを選んでください。
スタンドそのものも、置くものの1点に数えます。前の章の3点に、照明も含めてお考えください。
床板に置ける小さなものを4点選びました。上の2点はコードがいりません。充電式なので、近くに差し込み口がなくても置けるのが利点です。下の2点は電球が別売なので、色を自分で選べます。




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隠す|落し掛けの陰に細いライトを仕込む

器具そのものを見せたくない場合は、落し掛けの陰に細いライトを置く方法があります。落し掛けというのは、床の間の上をふさいでいる横木のことです。その裏側は正面から見えないので、バーライトを1本寝かせるだけで奥の壁が上から照らされます。
両面テープや磁石で留められるものなら、木に傷をつけずに済みます。配線は床柱の陰に沿わせて下ろしてください。光そのものだけが見えて、器具が見えないのがこの方法の狙いです。
器具を見せずに済ませるなら、貼って隠せるテープライトがあります。幅12ミリ・厚さ2.7ミリで、落し掛けの裏に収まる薄さです。長さは約3mあり、必要なところで切って使えます。

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選ぶ|電球色で器や掛軸の色を沈ませない
光の色は電球色、またはそれより暖かい色を選んでください。青みのある昼白色や昼光色を当てると、土や絵の具の色が沈んで、器も掛軸も灰色がかって見えます。
部屋の天井が昼白色でも問題ないでしょう。むしろ床の間だけ色が違うほうが、そこが別の場所だとはっきり伝わります。明るさは天井より控えめにしておきましょう。
床の間だけでなく、和室の天井の照明ごと替えたくなることもあるでしょう。照明だけを扱う専門店なら、和室向けのペンダントとシーリングが380点以上。吊るす高さや傘の大きさから絞り込めます。
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光の色と明るさの決め方は、食卓の照明を例にまとめた記事でも扱っている内容です。色温度の見方は床の間でもそのまま使えます。
あわせて読みたい和モダンのダイニング照明おすすめ12選と選び方まとめ
床の間を今風にするのに、壁を壊す必要はありません。手をつけるのは背景・置くもの・明かりの3つだけです。
背景は、貼るか立てるか活かすかの3通りから、いまの壁に合うものを選びます。置くものは3点まで、高さはいちばん高いものの半分より低く、幅の3分の1は空ける。明かりは電球色を1つ足すだけで足ります。
この順番どおりに進めると、途中でやめても不格好になりません。背景を整えた時点でいちばん大きく変わるので、まずはそこから始めてみてください。
何を置くかを決めたい方、飾るときの作法が気になる方は、こちらをご覧ください。寸法の測り方も載せています。
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