床の間のリフォームを考えはじめて、何から決めればいいのか分からないまま止まっていませんか。使わない床の間に段ボールが積まれている、という話もよく聞きます。
先に決めるのは金額ではありません。活かすのか、収納にするのか、撤去するのか。この3つのどれを選ぶかで工事の範囲が決まり、範囲が決まってはじめて金額が見えてきます。
この記事でご紹介するのは、3つの選択肢の違い、どれを選ぶかを決める4つの条件、自分でできる範囲、費用が動く場所、見積もりを取る前に決めておくことの5つです。順番に見ていきましょう。
当メディアを運営するJTOPIAは、有田焼をはじめとする伝統工芸品を扱う事業者です。工事そのものは当社の取扱い対象外のため、費用の数値は住宅リフォーム推進協議会が公表している調査報告書で確認した範囲にとどめ、床の間だけの相場は記載していません。記事内の一部のリンクにアフィリエイト広告を利用しています。詳しい編集方針は運営者情報・編集方針をご覧ください。
床の間のリフォームは3つの選択肢から選ぶ

床の間をどうするかは、大きく3つに分かれます。工事をせずに活かす、棚や扉を付けて収納にする、壁と床をそろえて撤去する。この順に工事が大きくなっていきます。
そもそも床の間が使われなくなったのは、住まい方が変わったからです。掛軸を掛け替える習慣がなくなり、客間として使う機会も減りました。空間そのものが悪いわけではありません。
迷ったときは、いちばん工事の小さいところから試すのがおすすめです。飾り方を変えるだけなら費用はほとんどかからず、しっくりこなければ元に戻せます。
活かす|工事をせずに飾り方だけ変える

床の間が物置になるのは、置くものが決まっていないからです。掛けるもの、置くもの、当てる光の3つを決めるだけで、同じ場所が見違えます。
床柱も床板も落し掛けも、そのまま残ります。床柱は正面に立つ化粧柱、床板は畳より一段高くなっている板の面、落し掛けは上部の横木。和室の格を落とさずに済むので、家を建てたときの造作を大事にしたい方に向いているでしょう。
意外に効くのが光です。床の間は奥まっているので、昼でも手前より暗くなります。小さなスタンドを1つ置くだけでも、飾ったものの見え方が変わるのです。
あわせて読みたい和モダンのダイニング照明おすすめ12選と選び方何をどう飾るかは別の記事にまとめてあります。寸法の測り方から書いていますので、そちらをご覧ください。
あわせて読みたい床の間の飾り方|置くものの選び方と花瓶・壺・香炉の寸法収納にする|棚か扉を付けて使う場所に変える
間口のある空間なので、棚板を入れるだけでも収納になります。床柱を残したまま使える場所に変えられるのが、この選び方のいいところです。
扉を付けるか、開けたままにするかで印象が変わります。生活用品をしまうなら扉が要りますが、器や本を見せるなら開けたままのほうが軽く仕上がるでしょう。
気をつけたいのは段差です。床の間の床板は畳より高い位置にあることが多く、そのまま使うと手前に物が落ちやすくなります。床を上げて畳とそろえるか、段差を活かして低い棚として使うかを先に決めておいてください。
棚板を入れるなら、何を置くかで段の高さが決まります。器を見せる収納にするなら、1段の内寸をどれだけ取るかという話になるので、別の記事も参考になるでしょう。
あわせて読みたい食器棚の見せる収納|器の寸法から決める棚と並べ方クローゼットや本棚、デスクなど、何に変えられるかは床の間の寸法で決まります。用途ごとに必要な寸法と、つくり方の違いは別の記事にまとめました。
あわせて読みたい床の間の収納アイデア|クローゼット・本棚・デスクへの変え方撤去する|壁と床をそろえて洋室にする
床の間をなくして、壁と床を部屋とそろえる方法です。3つのなかでいちばん工事が大きくなります。
壁を閉じ、床の下地を組んで高さを合わせ、仕上げを部屋に合わせる。ここまでが一続きの工事になります。床柱を抜くかどうかで、範囲はさらに変わるでしょう。
部屋全体を洋室にするなら、畳をフローリングに替える工事と一緒に進めるほうが収まりがよくなります。別々に頼むと、床の高さが合わなくなることがあるのです。
撤去すると元には戻せません。そこだけは、3つの選択肢のなかで決定的に違います。数年後に和室として使いたくなる可能性が少しでもあるなら、収納にする形で様子を見るのも手でしょう。
工事をせずに活かすと決めた場合は、見た目をどう変えるかが次の問題です。背景・置くもの・明かりの3つに分けて、こちらでご紹介しています。
あわせて読みたい床の間のおしゃれなアレンジ|工事なしで現代風にする方法どれを選ぶかは4つの条件で決まる

3つのうちどれにするかは、好みだけでは決まりません。床柱・床の高さ・壁・使う人の4つを見ると、選ぶべき道がしぼれるのです。当てはまる条件を上から確かめていきましょう。
床柱|残すか抜くかで工事の規模が変わる
床柱は床の間の顔にあたる柱です。これを残すか抜くかが、工事の規模をいちばん大きく左右します。
残すなら、活かすか収納にするかのどちらかです。抜くなら撤去に進みます。ただし床柱が建物の構造に関わっている場合は、そのままでは抜けません。図面か現地で、構造の柱かどうかを必ず確かめてもらってください。
銘木を使った床柱は、それ自体に価値があります。抜いてしまう前に、残して活かす道がないか一度考えてみるのもよいでしょう。
床の高さ|床板と畳の段差をどう処理するか
床の間の床板は、畳の面より高いつくりが一般的です。この段差をどう扱うかで、下地の工事が要るかどうかが分かれます。
段差を残したまま使うなら、下地には手を入れません。飾り台のように使えるので、活かす選び方とも相性がよいでしょう。
段差をなくすなら、下地を組んで高さをそろえる工事が入ります。手前に物を落としたくない方や、車椅子や歩行器を使う予定がある方は、こちらを選ぶことになるでしょう。
壁|真壁か大壁かで仕上げの手間が違う
柱が見えている壁を真壁、柱を隠した壁を大壁といいます。和室は真壁が多く、この場合は仕上げの手間が増えるのです。
真壁の部屋で床の間だけを閉じると、柱と壁の見え方がそこだけ変わってしまいます。周りとなじませるには、隣の壁まで手を入れることになるでしょう。
壁の仕上げを変えずに済ませたいなら、活かすか、扉を付けずに棚だけ入れる形が収まります。既存の壁を触らないという条件は、工事の範囲をはっきり小さくするのです。
使う人|仏壇や来客の予定があるか
最後は、その部屋を誰がどう使うかです。仏壇を置く予定や、法事で人を迎える予定があるなら、床の間は残しておくほうが困りません。
床の間は、床脇に仏壇を納める形で使われてきた場所でもあります。撤去してから仏壇の置き場所に困る、というのは実際に起こることです。
逆に、子ども部屋や寝室として使うなら、段差のない平らな床のほうが安全でしょう。誰が何年使う部屋なのかを先に決めると、迷いが減ります。
自分でできることは3つ|手を入れてよい範囲

どれにするかが決まったら、次はどこまでを自分の手でやるかです。全部を業者に頼まなくても、壁と棚までなら自分で動かせます。
線引きは部材で考えてください。壁紙と、置くだけの棚や箱まではご自分で。床柱や落し掛けに触る工事になった時点で、業者に頼む話になるのです。
壁紙|砂壁の上から貼れるタイプを選ぶ
床の間の壁は、真壁のつくりだと砂壁やじゅらく壁のことがあります。手で触って粉が付く壁に、のり付きの壁紙をそのまま貼ると、重みで落ちてしまうのです。
貼れるかどうかは壁の状態で決まります。粉が落ちる壁なら、下地を1枚挟むか、シールタイプを選ぶかに分かれるのです。商品の説明に貼れる下地が書いてあるので、買う前にそこを読んでください。
替えるのは1面だけで十分です。奥の壁を明るい色にすると、同じ間口でも奥行きが出て見えるでしょう。
剥がせるタイプを選んでおくと、気に入らなかったときに戻せます。最初の1回はここから試すのが安全です。
棚と箱|置くだけなら工事にならない
棚や箱を入れるだけなら、工事にはなりません。壁も床も触らないので、使ってみて合わなければ動かせます。
幅は床柱の内側で測ってください。柱の外側で測ると、実際より広い数字が出ます。半間の床の間でも、内側では87cmしかないことがあるのです。
高さは150cm前後までにしておくと、落し掛けに当たりません。上に数cmの余裕があれば、出し入れのときに角をぶつけずに済むでしょう。
床板の上に置けば、畳に跡は残りません。畳の部分に置くなら、板を1枚敷いてから載せてください。
床柱と落し掛け|触らずに残す
ここから先は業者の仕事です。床柱を抜くと、柱が隠していた壁の端が出てくるので、壁の仕上げまで連動します。
段差をなくす工事も同じです。床板と畳の高さをそろえるには床下に手が入るので、自分で削って合わせられるものではありません。
触らずに残すと決めておくと、見積もりも取りやすくなります。残す部材を先に伝えておけば、工事の都合で外されることもないでしょう。
壁紙と棚で足りなければ、ここから先は工事です。範囲によって金額がどう動くかを、次に見ていきましょう。
費用が動くのは工事の範囲
同じ「床の間のリフォーム」でも、金額は大きく違います。差がつくのは工事の範囲と、開けてから分かることの2つです。この2つを押さえておくと、見積もりの読み方が変わってきます。
範囲|1か所で終わるか部屋全体に及ぶか
金額をいちばん左右するのは、工事が床の間の中で終わるか、部屋全体に広がるかです。
棚板を入れるだけなら、触るのは床の間の内側だけで済みます。壁を閉じて仕上げをそろえるとなると、隣の壁との取り合いが出てきます。床をフローリングに替えるなら、部屋一面が対象になるでしょう。
どこまでを一度に済ませるかは、予算の都合で決めて構いません。ただしあとから範囲を広げると、同じ職人をもう一度呼ぶことになるでしょう。先に全体の絵を描いてから、どこに手を付けるかを決めるほうが無駄がありません。
もう一つ見落としやすいのが、工事中の暮らしです。その部屋を数日使えなくなるのか、家具をどこへ動かすのか。工事の範囲が広がるほど、住みながらの工事は負担が増えていきます。
下地|開けてから分かることがある
壁や床を開けると、見えていなかったものが出てきます。配線、断熱材の有無、雨漏りの跡、蟻害。どれも見積もりの時点では分からないことがあります。
古い家ほど、この可能性は高いです。開けてから追加の工事が必要になったとき、どう進めるかを先に相談しておくと慌てません。
見積もりを取るときは、下地に問題があった場合の扱いを確認しておいてください。その場で判断を求められるより、あらかじめ話しておくほうが落ち着いて決められるでしょう。
逆に、床の間の中だけで終わる工事なら、開ける範囲は限られます。壁も床も触らずに棚を入れる形であれば、想定外の出費はほとんど起きないと考えてよいでしょう。
相場の考え方|リフォーム全体の平均は405万円
先にお伝えしておくと、床の間だけを対象にした費用相場は、公的な調査では公表されていません。工事の範囲で金額が変わりすぎるため、平均値を出しにくい部分なのでしょう。
参考になるのは、リフォーム全体の数字になります。住宅リフォーム推進協議会の2025年度の調査では、実際にかかった費用は平均405万円、検討時の予算は平均310万円でした。これは住まい全体のリフォームを含む数値で、床の間だけの金額ではありません。
同じ調査では、予算を上回った人が全体の約3割を占めています。その理由の首位は、設備を当初よりグレードアップしたからでした。床の間のリフォームでも、扉の材や棚板の樹種を選び直すところで金額が動きます。
つまり、最初の見積もりから増えるのは、想定外の工事だけではありません。打ち合わせを重ねるうちに、自分でグレードを上げていくことのほうが多いのです。どこまでこだわるかを先に決めておくと、予算の中に収まります。
では自分の家の場合はいくらになるのか。それは工事の範囲が決まってはじめて出ます。同じ条件で2社から3社に出すと、範囲の取り方の違いまで見えてきます。見積もりの依頼は無料です。下の2社は、どちらも一度の入力で複数社に依頼できます。
後悔しない業者選びなら!リフォーム簡単見積もりサイト【Re:est】Re:est・リフォーム比較プロ(アフィリエイト広告)
費用の全体像や使える補助金については、別の記事で詳しくまとめています。和モダンのリノベーションを考えている方は、あわせてご覧ください。
あわせて読みたい和モダンリノベの費用相場|平均と見積もりの取り方見積もりを取る前に決めておく3つ
見積もりは、条件を決めてから取るほうが比べやすくなります。決めておくのは、用途・残すもの・期限の3つです。これを言葉にしておくだけで、出てくる金額の意味が変わります。
用途|何に使うかを先に言葉にする
「とりあえず使いやすくしたい」では、提案の幅が広すぎて比べられません。本を置く、季節の器を飾る、掃除機をしまう。使う場面まで具体的に伝えてください。
用途が決まると、棚の高さも扉の有無も自動的に決まります。逆に用途が曖昧なままだと、どの業者からも似たような無難な提案しか出てきません。
置くものが決まっているなら、その寸法まで測っておくと確実です。高さと奥行きの数字が1つあるだけで、棚の割り方が具体的になるのです。
残すもの|床柱・床板・落し掛けのどれを残すか
床の間は部材の名前が決まっています。床柱・床板・落し掛け・違い棚。このうちどれを残すかを指定しておくと、見積もりの内容がはっきりします。
名前が分からなければ、写真を撮って「この柱は残したい」と伝えれば十分です。残すものを決めずに頼むと、気づかないうちに撤去されてしまうことがあります。
残した部材を、あとで活かす手もあります。床板を棚板として使い直す、落し掛けをそのまま見せる。捨てずに使えば、和室らしさが残ったまま新しい使い方に変わるでしょう。
期限|いつまでに終わらせたいか
法事や来客に合わせるなら、日付を先に伝えてください。造作の家具や建具には、既製品と違って納期がかかるのです。
間に合わないと分かってから慌てて既製品に替えると、当初の絵とは違う仕上がりになってしまいます。日付が決まっているなら、それを最初の条件として渡しておきましょう。
急ぎでないなら、そう伝えるのも有効です。時期に余裕があると分かれば、職人の手が空くタイミングで組んでもらえることもあります。
まとめ
床の間のリフォームは、活かす・収納にする・撤去するの3つから選ぶところが出発点です。選んだ道で工事の範囲が決まり、範囲で金額が決まります。
どれにするかは、床柱を残すか、段差をなくすか、壁を触るか、誰が使うかの4つで絞れます。迷ったときは、いちばん工事の小さい「活かす」から試してみてください。飾り方を変えるだけなら、いつでもやり直せるのです。
撤去だけは、決めてしまうと元に戻せません。数年後に和室として使いたくなる可能性が残っているなら、収納にする形でしばらく様子を見るという選び方もあります。
床柱や落し掛けに触るところからが工事です。壁紙と、置くだけの棚までは自分で動かせます。どこまでを自分でやるかを先に決めておくと、見積もりを頼む範囲もぶれません。
見積もりを取るときに決めておくのは、用途・残すもの・期限の3つでした。とくに残すものは、指定しないと撤去されてしまうことがあります。部材の名前が分からなくても、写真を見せて「この柱は残したい」と伝えれば十分でしょう。
床の間だけの相場は公表されていませんが、工事の範囲が決まっていれば金額は出せます。範囲が決まっていない状態で聞くから、答えが幅を持ってしまうのです。
床の間のほかに押入れや部屋そのものまで含めて考えるなら、和室全体をあつかった記事もご覧ください。
あわせて読みたい和室の活用アイデア|床の間・押入れ・部屋別の使い道押入れだけを手直しするなら、やり方をまとめた記事もご覧ください。
あわせて読みたい押入れをクローゼットに|賃貸でもできる方法と測り方使わないまま物置になっている場所が、収納にも飾る場所にも変わります。まずは3つのどれにするかを決めて、そのうえで見積もりを取るところから始めてみてください。
用途・残すもの・期限の3つが決まったら、あとは見積もりを取るだけです。一度の入力でまとめて依頼できるので、手間はほとんどかかりません。
【Re:est】「リフォーム業者選びで失敗したくない」そんなあなたにRe:est(アフィリエイト広告)
出典:住宅リフォーム推進協議会「2025年度 住宅リフォーム消費者(検討者・実施者)実態調査報告書」(刊行物・報告書にPDFを掲載)。実際にかかった費用の平均405万円、検討時予算の平均310万円、予算を上回った人の割合と理由は同報告書より。2026年9月25日に確認しました。この調査はリフォーム全般を対象としており、床の間に限定した数値ではありません。

